もし本人が「困っている」と感じているようであれば、皮膚科に相談することをおすすめします。たとえわきがではなかったとしても、医師から「心配なにおいはありませんでした」と説明を受けるだけで、子どもは安心できるでしょう。

 実際、診察の結果、においの原因はわきがではなく、衣類に繁殖した雑菌だったり、汗の量が多いだけだったりというケースも少なくありません。

 まれにですが、「自己臭恐怖症」という状態が見られることもあります。実際にはまったくにおっていないのにもかかわらず、「自分は臭い」と思い込んでしまう状態です。大人に多い傾向がありますが、中高生でも見られることがあります。なかには、本人が深く悩んでいて、手術を希望される人もいます。

 そうした場合は皮膚科では対応が難しく、精神科を紹介することになります。

 まず子どもの話に耳を傾け、悩みがある場合は一緒に解決の方法を探す姿勢を持つことが大切です。そして周囲の大人やクラスメートなど周りの人たちは、においに対して過度に神経質にならないよう、理解を深めることも必要です。子ども本人の気持ちに寄り添いながら見守ること。それが、大きな支えになるでしょう。

※関連記事<手汗がひどくて手をつなげない、鉄棒が握れない…子どもの「多汗症」にどう向き合う? 【医師に聞く原因と治療法】>から続く

(取材・文/柳澤聖子)

【前編】手汗がひどくて手をつなげない、鉄棒が握れない…子どもの「多汗症」にどう向き合う? 【医師に聞く原因と治療法】
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柳澤聖子
ライター 柳澤聖子

1979年、愛知県生まれ。編集者・ライター。ベネッセコーポレーションで約15年間、理科教材の企画編集に携わった後、2019年に独立。学生時代は宇宙物理学を専攻。現在は、知的好奇心を育むサイエンス系の児童書や雑誌、インタビュー記事、子育てに関するウェブ記事などを主に手がける。自然の中で過ごす休日が、何よりの癒し。

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