小学校高学年の子どもを持つ親が集まると、「うちの子のこないだのドイツ語作文試験は、新聞記事の要約だったのよ!」「うちは人物描写だったわ!」「そろそろ準備しとかないと……」などと、最近の試験範囲の情報交換が始まります。おすすめの参考書や、役立つ動画なども、親同士で情報共有して、家に帰ってこっそり試験範囲を予習するなど、親も必死です。
学校での勉強時間が少なく、塾もないので、親が分担して、それぞれの得意分野を教えるしかありません。わが家は筆者が英語、算数、ドイツ語の文法を教え、夫が作文の最終チェックをしていますし、周りの家庭でも、母親がスケジュール管理をして、父親が子どもの勉強につきっきりな家庭など、さまざまです。学年が上がると、生物や地理、歴史や化学などの教科も増え、親の知識がさらに試されるようになります。

わが家の午後のルーティンは、長男が昼過ぎに帰宅すると、筆者が長男に英語と算数を教え、次男が習い事から帰宅すると、今度は次男と一緒にドイツ語の文法問題集を解く、といった具合で、試験前の午後は夕食の準備をする時間もないほどです。
父母で得意分野を分担して、全教科を網羅できればよいのですが、両親ともに苦手な教科があったり、ドイツ語が母国語でなかったりした場合、家庭だけでは成績を維持できません。その場合には、外部に頼るしかありませんが、こういう時に塾がないのは困ります。
後編<オーストリアでは小学生でも留年の危機⁉ 小中高生の50%が「留年救済用の家庭教師」を利用 >に続く
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