レンズの色とUVカットの効果は無関係
――紫外線を防ぐにはどうしたらいいですか?
目に浴びる紫外線は、対策さえすれば、大幅にカットすることができます。目の紫外線対策として最も効果的なのは帽子とサングラス(眼鏡)の併用です。この組み合わせで紫外線を約95%カットできます。帽子だけだと50%程度、サングラスだけだと約90%くらいです。できるだけ目に近いところで紫外線をカットするのが効果的なので、日傘は数十%程度の効果しかありません。帽子は深くかぶり、つばは7cm以上でできるだけ長く広いタイプを選ぶといいでしょう。
――サングラスはどのようなものを選べばよいですか?
「UV400カット」などと表示されているレンズを選びましょう。UV400で、できるだけレンズが大きめで、顔の形にフィットしたものを選んでください。レンズと顔のすき間からの紫外線を防ぐために、ゴーグル型だとさらに効果的です。ゴーグル型ではない場合、側面からの紫外線を防ぐために、眼鏡の柄の部分(テンプル、つる)は細いものよりも太いほうをおすすめします。レンズの色が濃いサングラスは、まぶしさは軽減されますが、濃すぎると瞳孔が開いて目の奥の水晶体まで紫外線が入り込みやすくなります。このため、目が見えるくらい色が薄いレンズのほうが安全です。そもそも紫外線のカット率とレンズの色は関係しません。

――近視などですでに眼鏡をしている場合は、どうすればいいでしょうか。
いま販売されている眼鏡のほとんどは、UVカット機能があります。眼鏡の形状にもよりますが、50~90%の紫外線をカットしています。ただし、子どもの場合、授業中だけ眼鏡をかけて、そのほかの時間は外してしまう子も多いと思います。眼鏡をかけている子は、かけていない子に比べて瞼裂斑のリスクが3分の1程度に減るのですが、授業中だけしか眼鏡をかけていない子は、全く眼鏡をしていない子のリスクと同程度です。近視の子は将来白内障になるリスクが高くなるので、より気を付けたいですね。授業時以外も眼鏡をかけ、特に屋外では眼鏡を常用する習慣をつけるとよいでしょう。
――コンタクトレンズは紫外線予防に有効ですか?
メーカーによっては、レンズにUVカット機能がついているものもあります。白目の部分はコンタクトレンズに覆われないところもありますが、黒目と瞼裂斑・翼状片ができる黒目と白目の境界部は保護できることを考えると非常に効果的です。小学5年生以上であれば、感染リスクの低い使い捨てタイプ(ワンデー)を検討してもいいと思います。
――サングラスや眼鏡をつけるのを嫌がる子には、どう対応すればいいですか?
確かに私たちも研究のために、子どもたちに無料でサングラスを配ることがあるのですが、1週間くらい経つと大半の子がかけなくなってしまうので、苦労しているところです。しかし子どもは、みんながやっていればやるものです。教員や保護者が紫外線の影響を理解して、自分たちも通勤などで日ごろからサングラスをかけるようにすれば、自然と広がっていくのではないでしょうか。
(取材・文/中寺暁子)