そこで今回は、「中学受験のプロ」である首都圏の学習塾に「ICT教育に力を入れている中高一貫校」についてアンケート調査を行い、303学習塾の塾長、教室長の回答から作成したランキングを紹介します(2024年、大学通信調べ。学校名を5校連記で記入してもらい、最初の一貫校を5ポイント、次を4ポイント……として集計)。


授業や学習時間の管理など、さまざまな場面でICTツールを活用
1位に選ばれたのは、広尾学園(東京都港区)です。1918年創立の順心女学校を前身とする順心女子学園が2007年に共学化、現在の校名になりました。授業内での教材配布や課題提出、委員会や部活動などの連絡手段として、Google Workspace for Educationなどのオンラインツールを活用。授業の予復習にウェブ上の映像授業を使用したり、スケジュールやToDoの管理に加えて日々の学習時間や定期試験の振り返りを記録するために自己管理ツールを利用したりと、あらゆる場面でICT機器を活用しています。ICT委員会や有志の生徒によって運営されるICTルームには約10年前から3Dプリンターやレーザーカッターが備えられ、それらの機器を使用した講座なども実施されています。
ICT機器を駆使して、日本語や英語でプレゼンテーション
2位の開智未来(埼玉県加須市)は、2011年開校の共学校です。カリキュラムポリシーの一つに、「新しい時代に対応した学びの創造と実践ICTを駆使した新しい学びの開発」を挙げ、開校当初から教育へのICT活用を積極的に進めています。2017年度からは1人1台iPadを貸与し、日常的な道具としてICTツールを利用しています。ICTを活用した発信力育成プログラムとして、学んだことをプレゼンテーションする「未来TED」を毎年実施。中1から高2までの生徒が一堂に会し、各学年の代表生徒がICT機器を駆使して、日本語や英語でプレゼンテーションを行います。
マイクロソフト本社が認定する教育ICT先進校も
3位は工学院大附(東京都八王子市)です。1887年創立の工手学校が母体で1996年に中学校が開校し、2002年に共学化しました。マイクロソフト本社が認定する教育ICT先進校「Microsoft Showcase School」として、1人1台端末と校内Wi-Fiを整備。Microsoft 365やGoogle Classroomを活用し、資料の共有や提出、発表、評価までシームレスに行える環境を整えているほか、生成AIを利用したリテラシー教育や思考力育成を試行的に導入しています。「MakeRoom」と「Fabスペース」には3DプリンターやiMacなどを備え、3Dモデリングや映像、音楽、デザイン制作など、クリエイティブな学びを実践しています。
スマートフォンやタブレット、パソコンなどが当たり前に身近にある世代だからこそ、それらを適切に扱うためのスキルやリテラシーを学ぶことは、ますます重要になってくるでしょう。ICT教育の充実度も、志望校を選ぶ際の注目ポイントの一つです。
(文/白井裕子)