子どもの小さな成功体験を増やすという意味でも、卵割りはすごくいいなと思っています。例えば、1個を割り損ねて、「もう、ダメじゃない!」と言って可能性を奪ってしまうのは、もったいない。3個ぐらい割りそこなっても、最後に成功すれば、彼らにとって成功体験になります。失敗した卵は、後で卵焼きにして食べればいいわけですし。

 卵割りが上手になるとスイーツ作りの戦力になるので、こちらもすごく助かります。

――子育てするうえで、スイーツ作りが役立っているんですね。

 はい。子どもたちはショートケーキが大好きなのですが、土台となるスポンジケーキの生地を焼くのは、なかなか難しく、うまく膨らまないことがあります。子どもたちにしてみたら、それはそれで大好物です。「生地ちょうだい、ちょうだい」って言いながら、嬉しそうに食べます。

 生地を焼いているときは、オーブンの窓から子どもたちと一緒によく中をのぞきます。膨らんでいく瞬間が、すごく感動的なんです。子どもたちの目がキラキラしていく様子もいいんです。上手く膨らんで生クリームを塗って、完成したショートケーキももちろんですが、ボウルに残った生クリームを食べるのも大好きで、競うように食べています。

 そんな喜びや感動、成功体験が、彼らの人間形成に役立てばと思っています。

 スイーツを作っていると、作る楽しさと食べてもらう楽しさもあるし、子どもたちとの付き合いも深まっていくことを幸せに感じる日々です。

2枚ともKADOKAWA提供

(取材・文/永野原梨香)

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永野原梨香
永野原梨香

ながのはら・りか/『週刊エコノミスト』、『AERA』『週刊朝日』などに勤務し、現在、フリーライター。識者インタビューのほか、マネーや子育てをテーマに執筆中。

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