お母さんの気合いが入りすぎて受験前日オーバーヒート寸前に
お母さんは仕事から帰ると、必ず1時間、社会や国語をKちゃんと一緒におさらいをしました。歴史は平成時代までを併走するのに約2年間、毎日一緒に勉強をしたそうです。また、お父さんはKちゃんが夜間に解いた算数の問題を、出勤前に早起きをして確認し、間違えている問題やわからないところを細かくフォロー。図解なども取り入れながらノートに記していったそうです。親が教えるとどうしてもヒートアップして口論になりがちですが、ノートを介することで、冷静に受け止められ、Kちゃんも何度もやり方を確認できるなど、メリットがたくさんあったと言います。塾では、実力がさまざまな生徒に向けて授業をおこないますが、我が子の苦手な部分、必ず押さえておくべき箇所などを親が把握し、そこを手厚く解説したことで、Kちゃんの実力は確固たるものとなっていきました。
6年生になり、いよいよ、受験月に突入。以前小学校受験の時に不合格だった学校が初戦となりました。Kちゃんは元々前向きで度胸のあるタイプなので、いつも通りの様子で就寝。しかし、お母さんは「また落ちたらどうしよう。これだけ頑張ったのに結果が出なければ、この子の自己肯定感を下げるようなことにならないだろうか」など不安が押し寄せ、極度の緊張のあまり、夜中気分が悪くなり、貧血状態に陥ってしまったそう。気が遠のくような感覚が続き、ここで救急車でも呼ぶ羽目になったら明日の試験に影響してしまう、とほとんど眠ることもできずにとにかく無事に送り出すことだけを考えて朝を迎えたそうです。
受験初日の朝、Kちゃんは、いつも通り落ち着いた様子で、不安げに見守る親を振り返ることもなく会場入りをし、そして見事合格、苦い思い出を自らの力で塗り替えたのでした。
報われた気持ちになったのは、合格をしたからではない
小学校では縁がなかった学校から合格をもらったときは、家族で手を取り合い泣きながら喜んだKちゃん一家。「報われてよかった!」という安堵の気持ちよりも、もっと嬉しかったことがあったとお母さんは言います。それは、試験最終日にKちゃんから言われた言葉でした。
次のページへKちゃんが発した言葉とは?