もうひとつの可能性は、学年が上がると芽生える「思いやり」の気持ちです。こちらも想像ですが、クリアできずに何度も同じところをやっている友達を前に、良かれと思って進めたのかもしれません。
とはいえ、どちらにしろ「先に進められて嫌だった」ことに変わりはありませんよね。しかし、これをどう伝えるかが問題です。そこでおすすめなのが「Iメッセージ」です。「Youメッセージ」は「君が勝手にゲームを進めたことが、僕は嫌だった」となりますが「Iメッセージ」なら「ここは、僕は自分で進めたいから、自分でする」となります。相手も自分も大切にしながら自分の気持ちを伝えるアサーションとして、「Iメッセージ」はとても使いやすいものです。
このように、小3の今から「自分の気持ち」を伝えるスキルを教えてあげるといいと思います。
また、読みたくないマンガを読んでいるのも、そのうち自分で「いやいや、これ読んでもつまらない」と自分で本当に思うときがくると思います。そのタイミングで、話を聞いてあげましょう。親御さんの経験談なども交えながらフォローしてあげるのが現実的だと思います。そのとき、子どもに相手も大切にしながら自分の気持ちを伝えるアサーションスキルを身につけておくと、気持ちがラクですよね。
つい「今」だけを見てしまうのですが、目の前にいる子どもが「毎年ひとつずつ大きくなっていく」、「成長していく」という目線で関わってみましょう。すると、その子にどんなことが必要かということが見えてきます。また同様のことがあったときに考えてみてください。
(取材・文/三宅智佳)
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