ひとつは「自分の世界に入ってこないで」という気持ち。「今は自分で考えて、自分でやりたい」ということです。決してネガティブではありませんよね、存分に試行錯誤させてあげていいと思うのです。なにか困ったことがあったら声をかけてね、というスタンスが子どもにとって心地よいでしょう。
もうひとつは、なにかあっても「心配をかけたくない」「大事にしたくない」という気持ちがある場合。なにか困りごとや悩みを抱えているケースで、こちらは心配です。また、いじめなどに巻き込まれている場合は、自信を失っていることも多いのです。そこで「だめな自分を親に見せたくない」という気持ちがある場合も考えられます。
――後者の場合、まず事情を聞くべきですね。
後者が予想される場合、「なにかあったの?」「大丈夫?」とすぐに聞きたくなる気持ちはわかります。でも、しつこく聞き出すことはNG。余計に嫌になってしまいます。子どもにもタイミングがあるからです。
もし、こんなふうに「親に気をつかって言えない」ことがあると察したら、「お茶に行かない?」など、外に誘い出すのは効果的です。雑談できる状況を作り出すのです。もしいつもなら誘いに乗るのに今回は乗らないということがあれば率直に心配している気持ちを伝えましょう。家の中でがっつりと向き合って「どうしたの? 話してごらん」と言われるより、ずっと話しやすくなるでしょう。
無理やりでなく、タイミングを見てあげましょう。大人だって、仕事のときに先方のタイミングを見ますよね。子どもが相手でも同じことです。お茶やカラオケ、映画……。子どもがのってきそうなことを提案するのです。リラックスして、雑談の延長で自然に話すことができるかもしれません。
(取材・文/三宅智佳)