公立中高一貫校応募者が減少

 続けて二つ目です。公立中高一貫校の応募者数は昨年に続いて、また総じて減少しました。東京・神奈川・千葉・埼玉の公立中高一貫校の一般枠の総応募者数は以下となります。参考までに3年分掲載します。

 このように、毎年約1000人ずつ減少しています。この公立中高一貫校の不人気の要因はいくつかあります。いくつか列挙しますと、

(1)特に東京での高校学費無償化により、より施設と体験、そして教育が充実した私学を選びがちになる。私学で一般化しつつある自由に学びあえる施設「ラーニングコモンズ」は公立中高一貫校ではあまり実現されていない。

(2)教育の硬直性があり、それが原因で敬遠されやすい。

(3)海外大学対応など、進路対応で柔軟さにかける公立一貫校も少なくない。概して国公立大学推し。

(4)私学と比較すると説明会などの数も少なく、学校を理解する機会に乏しい。

などでしょうか。

併願校数は過去最高の6.0校に

 このように、受験者数、受験率はやや下降したものの、首都圏全体の総応募者数は増加しました。前述の東京・神奈川・千葉・埼玉と、茨城・栃木の一部の私学を入れた総受験者数が37万482人。2024年は35万734人だったので、約2万人も増えたことになります。ゆえに、一人当たりの併願校数は6.0校となり、24年の5.3校から大きく伸び、過去最高となりました。

 この増加は、以下二つの要因が考えられます。

(1)1月受験、特に埼玉の併願校の増加
(2)2月1日以降の午後入試の定着

(1)に関しては、最近は都内の入試が厳しいこともあり、埼玉、そして千葉での1月入試が単なる腕試しではなく、「合格したら有力な進学候補とする」に変化しているのも、1月受験が増加している要因でしょう。つまり、入試本番開始は2月1日ではなく、1月からとっくに始まっているのです。

(2)に関しては、まず純粋に首都圏での入試数と応募者数が多い状態です。2024年→2025年で記します。

 このように双方増加しています。ちなみに25年の2月1日午前入試の応募者数が4万7820人ですから、単純に計算すると、午前応募者数の約70%が午後入試に応募していることになります。

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