すぐに手が出てしまったり、ひどい言葉を言ってしまったり……。わが子の衝動性が強いと、親としては友達とのかかわりや将来が心配になるものです。発達科学コミュニケーション代表で臨床発達心理士の吉野加容子さんは「本人もコントロールできなくて苦しんでいる」と言います。具体的な3つの対応方法を教えていただきました。
【マンガ】「極度の運動オンチ」だと思っていたら“発達性協調運動障害”だった 診断に辿り着くまでの小学生息子と母の苦悩(全17枚)本人もコントロールできず苦しんでいる
――衝動性を持つお子さんは、実際にどう困っているのでしょうか?
日常的にはかんしゃくとして見られることが多いと思いますが、かんしゃくの中で手や足が出るという衝動性と、突然キレ始める、しつこく言い続ける、暴言のような言葉を言ってしまう口の衝動性、大きくこの二つのケースがあると思います。グレーゾーンのお子さんの場合は、家庭内だけでそういったかんしゃくが見られることが多いです。脳の特性によるものなので、実は本人にもコントロールできなくて苦しんでいるというケースがすごく多いですね。
――深刻に捉えている親御さんもいらっしゃると思います。どう考え対応すればいいのでしょうか。
大事なのは、かんしゃくをエスカレートさせないように対応することです。このタイプのお子さんは、たいてい困り事があるときや思い通りにならないときに怒り出すので、かんしゃくが起きても親は取り合わずに見守りましょう。そうすることで、お子さんに「怒ってもしょうがないんだな」と学習してもらうのです。「思い通りにならない→怒る」という行動パターンを脳の癖にしないことが重要です。
このかんしゃくや衝動性は、間違った対応をすると年齢を重ねるごとにどんどん強くなっていく傾向があるので、早いうちから正しい対応をすることが大切です。
――親御さんが「怒ってもしかたないでしょ!」と言ってしまうこともありそうですが、それだと意味がないということですね。
親御さんもついいらだってしまうかもしれませんが、お子さんの感情に巻き込まれないことが重要です。子どもは自分の力では衝動を止められないので、ヒートアップしているときは近づかないで、落ち着くのを待つ。これが重要です。すごく怒ったり物を投げたりしても、止めない、取り合わない。取り合うと「こういう行動を起こせば気にかけてもらえるんだ」と思われて、行動パターンになってしまいます。怒られても結局ジュースがもらえるとか、塾に行かなくてすむとか。その場その場で子どもの要求を聞いてはいけません。手が出てしまう子の場合は、血が出るほどのケガをするとか危険行為になる場合は止めます。逆にそこまででなければ、取り合わずに見守りましょう。
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