親の気持ちが切り替えられない、そんな時はどうする?

――子どもは気持ちを切り替えられても、親が切り替えられないという声も聞きます。

 そういう親御さんはとても多いです。私は「中学受験カフェ」というサイトで毎月、オンライン相談会をやっていて、いつも2月に「結果を受け止められない」というテーマを設けています。初めて開催した時は2時間で設定していましたが、結果、終わるまで5時間かかりました。皆さんそれだけ、ほかに吐き出す場所がなく苦しんでいらっしゃるのです。

「こういう結果であるならば、こんなに勉強させなければよかった」、「(全部ご縁がなかった場合)子どもは笑顔でいるけれど、本当は深く傷ついているのではないか」といった声や、「親の自分が切り替えなきゃと思っているが、頭ではわかっていても、体が動かない、何もやる気になれない」、「中学受験させてよかったのかどうか今でもわからない」といった声などが届きます。

中学受験を後悔している人へ

――そういう方に、先生はどうアドバイスされますか。

 私がこれまでの中学受験の指導を通じて思うのが、「中学受験の意味づけは、振り返る時期によってまったく変わってくる」ということです。

 過去に、第一志望にご縁がなくて第二志望に進学した親御さんから、のちにこんなメッセージをいただいたことがあります。「第二志望の中学校がすごく息子に合っていたし、保護者会や授業参観などで学校に行くたびに、私自身もすごく周りから温かく包み込んでもらいました。そして今日、大学入試の合格発表があり、本人が行きたかった最難関国立大に合格しました。私の中でようやく中学受験が終わりました」

 受験を終えられたばかりの親御さんは、今の結果を見て、中学受験はこの子には必要なかったかもしれないとか、本当にやってよかったかわからないと思うかもしれません。でも、中学入試の結果って、運がすごく大きいのです。もう一度同じ入試があったら合格者が半分入れ替わるとも言われています。それは、受験しているのが幼い小学生だからなのです。

 よほど、親にイヤイヤやらされていた中学受験とか、親子関係がめちゃくちゃになってしまった中学受験じゃない限り、子どもの中には何か絶対、根付いたり、成長したりしている部分があります。それは、今すぐはわからないと思いますが、子どもが中学生になったとき、高校生になったとき、あるいは社会人になったとき、結婚してからかもしれませんが、いつか気づくときが来ます。

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