人生にも影響を与える、愛着のトラウマ
――愛着にトラウマがあると、成長にどんな影響がおこりますか。
自分や人の気持ちがわからないと、対人関係もうまくいきません。自分を愛することができないので「どうせ自分なんて」と自暴自棄になる場合も多く見られます。親に愛され、愛着関係が形成されることによって「自分の存在が大切」「命には意味がある」という気持ちが育つのですが、小さいころから「愛されている」実感がないので、反社会的なことをしたり、自分で自分を傷つけるようなことも平気でしてしまう。まさに、人生に大きく影響を与えるのです。
――もし、うちの子も「愛着のトラウマ」を抱えているのでは……と感じた場合、親はどうすればいいでしょうか。
年齢が小さければ小さいほど修正しやすいのですが、まず大事なことは「安全基地」です。親がもう一度安全基地になること。「頼っていいんだよ」と情緒的な関わりをもう一度構築するのです。子どもに安心してもらうことが大切です。そしてなにより子どもの人格を尊重し、その子自身を見ることです。
親子の情緒的な関わりは、小学生になってからでもやり直すことができます。そして、専門家と連携することも大切です。なぜなら、親自身も愛着のトラウマを抱えているケースも見られるからです。愛着の問題はとても根が深いので、時間をかけて慎重に見る必要があります。
きちんと育てているつもりなのに、なんだかうまくいかない、通じ合わない……。そう感じたときは、子どもの「人格を尊重」しているかを振り返ってみるといいかもしれません。
(取材・文/三宅智佳)
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