日本の小学校は「コミュニティづくりの教科書」
――本作は世界各国でさまざまな反響を呼んでいます。印象に残っていることはありますか。
教育大国として知られるフィンランドで4カ月のロングラン上映になったことです。フィンランドの教育では、コミュニティーの中で生きていくことに対する意識が弱まっていることが課題だそうで、この映画を見て「コミュニティーづくりの教科書だ」という言葉をいただいたのはすごく心に残っています。
こうした海外からの声を通して、私たち日本人が日本の教育の良いところに気づくことができればうれしいです。小学校で集団生活を経験することでプラスになる部分もある一方で、今はマイナスの部分ばかりが取り上げられているように感じます。日本のお国柄とされる礼儀やマナー、協調性などは、生まれた瞬間から身についているわけではなくて教育を通して学び、身についたもの。「集団」と「個」、「制限」と「自由」、そのバランスの正解を出すのは難しいことですが、教育については社会のみんなで考えていくことが大事です。日本の未来に興味があるみなさんに映画を見ていただき、少しでも多くの人が日本の教育について考えてほしいと思います。
(取材・文/岩本恵美)
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Webメディアの編集や新聞紙面の制作を経て、2016年に独立。現在はWebを中心に、本やアート、教育などをテーマにしたコンテンツづくりに取り組む。朝日新聞社が運営する本の情報サイト「好書好日(こうしょこうじつ)」にて、絵本・図鑑等の児童書やレシピ本などのジャンルを担当。GREEN GHOST LLC.所属。