「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さん。教育ジャーナリストおおたとしまささんも参加して11月に3人で行われた「中学受験『うまくいった』家庭の極意」セミナーから、小6のお母さんの学校選びについての悩みに答えます。

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「どこも楽しめそう」というのはすごくいい

矢萩:「置かれた場所で咲きなさい」じゃないですが、どこに行っても楽しめる、というマインドならば、本当にどこに行っても楽しむことができると思います。ただし、どの学校も全く同じ、ということはないですよね。どんな先生がいるか、どんな同級生と一緒になるかは通ってみないとわからないのでそこはなんとも言えないですし、あらかじめわかる情報でも必ず違いはあるはずです。例えば、A、B、Cという3つの学校で迷っているとしたら、その違いをちゃんと書き出して整理してみたほうがいいと思います。それをリストや表にして客観的に見てみると、自分はこの項目の優先順位が高いからこっちの学校のほうがちょっといいかも、といったものが見えてくるかもしれない。「全部楽しそうだから全部いい」みたいに漠然と考えるよりは、要素をちゃんと書き出してみることが大事かと思います。

安浪京子さん

安浪:まず、お嬢さんが学校見学に行って、どこも楽しめそう、と思ったというのはすごくいいことですよね。学校って部活をやったり、友達を作ったりといろいろありますが、基本は勉強する場なんです。ですからやっぱりカリキュラムや時間割がどうなのかはとても大事だと思っています。あるお子さんの例なんですが、チャレンジで受けた学校に合格して、最初は「ラッキー」とすごく喜んでいたんです。でもその学校のカリキュラムはかなりハードで、周囲の子達のレベルも高く、授業についていけず、不登校になってしまいました。だから学校のカリキュラムはもちろん、拘束時間や補習の有無、内容などもできる限り調べたほうがいいと思います。小テストも一定の点数が取れるまで何回もやらされる学校もありますから。それがいいか悪いかはともかく、その学校がどのような学習スタイルなのかは重要かと思います。

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安浪京子
中学受験専門カウンセラー/算数教育家 安浪京子

やすなみ・きょうこ/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』(ダイヤモンド社)。オンラインサイト「中学受験カフェ」主宰。

矢萩邦彦
中学受験塾塾長 矢萩邦彦

やはぎ・くにひこ/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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