そこで、子どもたちは200~300円ぐらいずつ出し合って、協力してお土産を購入するのです。一度お土産を渡すと、「次の年も……」と慣例化していきます。下の学年の子どもたちやその保護者が見ているからです。

 さらに、子どもや保護者から、「(限られた)お小遣いからでは足りないから、お小遣いとは別に、自分たち(保護者)で出し合って、監督やコーチに修学旅行先でお土産を買っていいですか?」と聞かれることも出てきました。 “お小遣いとは別”という形でのお土産購入についての相談も出てきたのが最近の変化です。

修学旅行にむけての保護者説明会で伝えていること

 初めて6年生を担任して修学旅行を引率したときに、失敗したことがあります。

 それは、修学旅行に学校で決められた金額以上のお小遣いを持ってきた子どもがいたことです。

 修学旅行にむけての事前の保護者説明会で、「修学旅行で持って行くお小遣いについて、学校で決められた金額をちゃんと守ろうねと、子どもたちに指導しています。ご確認・ご協力のほどお願いします」と、保護者にお願いすることを怠っていたのです。

 それ以来、修学旅行にむけての事前の保護者説明会では、持ち物や食事、服装、活動内容などに加えて、お小遣いについて次の7つのことを話すようにしています。子どもたちにも教室で繰り返し話していることです。

【1】修学旅行と家族旅行は違うということ。家族旅行は修学旅行に比べて少人数で、時間もお金の使い方も自由度が高いです。修学旅行は、大人数のため団体行動・集団での活動が基本になります。自分の思い通りにならないことが家族旅行に比べると多く出てきます。修学旅行は学習活動の一環として取り組むのが、家族旅行との大きな違いだということ。

【2】自分だけ・仲良しの人だけでなく、6年生みんなが楽しい修学旅行の思い出を、6年生みんなでつくっていこうと子どもたちに話していること。

【3】決められたお小遣いの金額でやりくりして、お土産を買うのも大切な勉強だということ。

【4】決められた金額以上を持ってきたら、決まりをちゃんと守っている子どもが嫌な気持ちになること。

【5】お小遣いの金額設定を高額にして、もし紛失や盗難があった場合、大変だということ。

【6】修学旅行当日、出発直前にお子さんの荷物や財布の中を確認してもらうこと。忘れ物だけでなく、ゲーム機やスマホや必要以上のお金が入っていないかの確認してほしいこと。

【7】もし決められた以上のお金や物を持ってきた場合は、学校として指導せざるを得ないということ。子どもにとっても、楽しい修学旅行が楽しくなくなってしまうということ。

次のページへ担任として悩むお小遣いの対応
1 2 3