それで起きることができれば、子どもは「自分で起きられた!」と思います。親に「早起きが得意だね、えらいね」と言われれば、「自分は早起きできるんだ!」と自信がつくのです。
思いやりを育てるために伝えたいこと
私は以前、子どもの「思いやり」についての研究をしていました。そのときの調査では、親から「あなたは思いやりのある子だ」「優しい子だ」と言われると、明らかに人に優しくする行動が増えることがわかりました。親が自分のいい部分を見てくれれば、それにこたえようと子どもは思うのです。
たとえば下に小さな弟や妹がいる場合、親は上の子に「優しい兄・姉」になることを期待します。でも、なかなかそうもいきません。下の子にヤキモチを焼き、たたいたり意地悪したりする子もいます。
そういうときこそ、上の子を排除しないでほしいのです。片方のひざに下の子をのせたら、もう片方のひざに上の子をのせてあげてください。
下の子が寝たあとに、上の子とおやつを食べる時間を作るのもいいですね。そのとき「今日は弟がママのひざに乗ってきても、怒らなかったね。ありがとう。優しいね」などとほめてあげてください。
お手伝いなど「してくれたこと」だけでなく、怒らなかったこと、泣かなかったことなど「しなかったこと」もちゃんと気づいて、認めてあげてほしいと思います。それが「自分はがまんできる子だ」という自己像を作るのです。
そんな日常の繰り返しの中で、子どもは少しずつ自分を律する力を育てていきます。行きつ戻りつ成長しますから、「鬼の電話」のような即効性はありません。
それでも気がつくと「最近ちょっと子育てがラクになったなぁ」と思うときが訪れます。その日を楽しみに、気長に子どもの成長を見守っていきましょう。
(取材・文/神 素子)