これらの結果を見ると、カブトムシを飼っている小学生ってこんなに多いの?とは思いましたが、魚の次に犬や猫が多いのは納得の結果でした。
英国の疫学調査でも、子どものいる家庭のほうがいない家庭よりペットを飼育している割合が高いことがわかっています(#3,4)。当然子ども自身が飼いたいというのもあるでしょうが、子どもがいたほうが飼育動物が身近な存在になると思われます。
子どもの成長におけるペットの効果とは
ではペットを飼育することは、子どもの成長や発達にどのような効果があるのでしょうか?
人間が飼育する動物はそもそもペットではなく、伴侶動物(コンパニオンアニマル)と呼ばれます。コンパニオンアニマルは、家族として、人間とより密接に心を通じ合う動物とされています。そのコンパニオンアニマルには、犬、猫、馬、ウサギなどが含まれています。
子どもたちは怒り、悲しみ、幸せを感じた時に、慰め、安心感、精神的サポートを求めて動物に頼るという傾向があります(#5,6)。これにはオキシトシン系の活性化などの生理学的メカニズムが、動物と接触する人間の心理的ストレスを軽くする可能性も指摘されています(#7)。
ただ、コンパニオンアニマルを飼っているだけではそれらの効果がないとも言われています。飼っているだけでなく、その動物との愛情深い絆を築くことが何より大切です。研究では子どもがそれらの動物に愛着行動を示すことも実証されています(#8)。
また、子ども達にとってコンパニオンアニマルは、さまざまなことを学習する動機になるとも言われています(#9)。子どもは子どもなりに、たとえ相手が動物であろうと相手の気持ちを理解しようとしたり、相手の行動を読み取ったりする訓練をおこないます。
ペットの飼育と子どもの精神的な発達・成長に関する22件の研究を吟味した「システマティックレビュー」でも、それらの間には関連性があるという結果でした(#10)。
このように、コンパニオンアニマルは子どもの成長に良いことが示唆されています。
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