3)やめる「回数」「時間」を前もって予告しておく

 発達特性のある子は「予告が重要」と言われています。親は「あと5分でテレビ終わりね」とよく言ってしまいますが、それは大人の都合。子どもにとっては、動画やゲームをやめるのは1日の中で大きな決断なので、始める前に「回数」や「終わる時間」を予告しておきましょう。

【「回数」で区切る場合】

 発達特性のあるお子さんの中には時間感覚が弱い子もいるので、そういう子は、時間ではなく回数で区切るのがおすすめです。最初に見る本数と、どの動画を見るか計画を立ててみましょう。見る時間が1時間なら「これとこれとこれね。じゃあ3本見られるね、いいね!」というふうに、お子さんのプランをほめておいて見始めるというのも効果的だと思います。

【「時間」で区切る場合】

 わが子がどのくらい前に伝えればやめられるか、実験してみましょう。 30分前に言ってみてダメなら、1時間前に言ってみる。それでダメなら3時間前、半日前……、いろいろ試してみましょう。大人が思っている以上に「早めの予告」が必要なことがわかるかもしれません。

 例えば、24時間前に伝えればやめられるなら、前日に「明日の夕方5時にゲームを終わらせようね」と予告する。寝る前にも「明日5時でゲーム終わりだよ」と確認しておく。翌朝、子どもが「お母さん、今日5時にゲーム終わり?」と聞いてきたら「そうだよ」と相槌を打つ。学校から帰宅後、「今日5時にゲーム終わりだよね」と聞いてきたら「そうだよ」と確認して、やり始めて5時にやめられる。

 そんなふうに、24時間前から気持ちの準備が必要な子もいます。もし24時間で足りなかったら、3日前から予告してもいいでしょう。お子さんに合った伝え方のタイミングを実践してみてください。

(構成/布施奈央子)

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吉野加容子
臨床発達心理士 吉野加容子

発達科学コミュニケーション代表。企業の脳科学研究や、医療機関での発達支援に携わってきた経験をいかし、独自の発達支援プログラム「発達科学コミュニケーション」を開発。発達に悩む多くの親子を支援する。近著は『発達障害・グレーゾーン』の育てにくい子が3ヶ月で変わる 非常識なおうち発達支援』(パステル出版)。

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