伝えたいことは、言葉ではなく態度で

――娘さんはくまださんに進学の相談などはされますか?

 そのことに関しては、僕はお金は出すけど口は出さない方針です。娘は中学受験して中高一貫校に通っているのですが、そういうことも妻と娘の間で相談して答えが決まっているので、僕は2人が出した答えの通りでいいよ、と。

――叱ったり怒ったりすることはないんですか?

 そうですね。僕たち夫婦の考えですけど、人生や将来のことは親が言葉で教えるものではないと思っているんです。友だちや先生、先輩、後輩……、世の中から教えてもらうことのほうが多いと思っています。僕が言うのはおこがましいですけど、親は子を助けるだけの存在でいいんじゃないって。

――だからイヤがられないのかもしれないですね。説教っぽくなると、子どもにうっとうしがられますよね。

 僕もそう思います。ただ態度では教えます。例えばファミレスに入ったときの店員さんとのやりとりとか、あいさつをていねいにするとかは、お手本というか、僕らのやり方を見ていてほしい。娘が大人になったときにそれをやってくれたらいいな、とは思っています。子どもは大人を意外とよく見ているので、家では人の悪口も言わないです。……いま僕、すごくいいことを言いましたね(笑)。

――なぜ思春期の娘さんが、くまださんをうっとうしがらないのかが、わかってきました。

 あっ、でも昨日は珍しく説教というか……。最近娘はお笑いが好きで、ライブを見に行くんです。ある後輩くんのお笑いライブに行きたいって言っていたので、それを後輩くんに話したら「招待しますよ」って言ってくれたんですけど、娘は「それなら行かなくていい」って言うんです。だから「それは違うぜ」って。僕の考えですけど、誰かの厚意を遠慮するくらいなら、感謝して受けとったほうがいいっていう話はしました。すごく遠慮する子なんですよね。例えば夕食にステーキを食べに行ったとして、その2日後くらいにまた外食しようとすると「一昨日ステーキ食べたから今日はカップラーメンでいいよ」っていう子なんです。

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