学校の授業や活動、入試……。今、教育の場面で「非認知能力」がクローズアップされています。その理由とは? 非認知能力教育へこめられた思いを、文部科学省の田村学さんに聞きました。「AERA with Kids2024秋号」からご紹介します。
【マンガ】こだわりが強すぎる6歳が「こだわらなくて大丈夫」になったポイントは(全11枚)勉強も大切ですが、心が豊かなことも重要
2020年にスタートした新学習指導要領(文部科学省が定めた全国の小・中・高校の教育課程の基準)に「資質・能力の三つの柱」と非認知能力が大きく取り入れられました。
「以前から、非認知能力的な部分について考えられてきました。ここでしっかりと明言したのは『これからの時代、はたして勉強ができるだけで本当に社会で活躍できるのかな、幸せなのかな?』ということなのです」と話すのは、文部科学省で主任視学官を務める田村学さんです。
「たとえば、人の意見に耳を傾ける、課題への対処を自分で判断する……。“心の傾向”、つまり非認知能力もきわめて大切だということ。新学習指導要領には、ここをていねいに見て、育もうという思いがあるのです」(田村さん)
だれかと協力して課題を成し遂げる、あきらめずにやり抜く力などは一層重要になるといわれます。
「そして、それが自信や自己肯定感につながっていく。私は、非認知能力は『人生を豊かにする力』だと思っています」
非認知能力を駆使すると認知能力も伸びる
知識は、繰り返し反復しながら獲得することもできます。
「でも、実はその知識を使ったり、人に説明したり、一緒に問題解決したりするほうが、『知識』はより安定的に獲得されるということが、解明されはじめています」
物事を主体的に考えたり、あきらめずに追究したり。非認知能力を駆使することで、認知能力も伸びるということなのです。
「そのような態度や心的傾向なら、その人の能力を将来にわたって安定的に発揮することができるでしょう。人生をどう感じるかはその人しだいですが『I am OK』と言えるかどうか。非認知能力を育むことで、そんな成長をしてほしいと願っています」
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