10代以上の学習者は、学校や英語塾などで英語を勉強として意識的に学ぶため、最初の成長は急だが、ある領域までいくと、間違って覚えた英語が癖になるなどの「化石化」が起きてしまい、ネイティブレベルに突き抜けられないのが特徴だ。

 一方で、10歳くらいまでに自然な環境の中で第二言語に大量に接触した子どもは、時間はかかるが、最終的には10代以上の学習者より高いレベルに到達するという。

「後者を目指しておうち英語に取り組む家庭も多いでしょう。ただ、この優位性は、幼少期の英語の接触時間が数千時間を超えないと出てこないと私は考えています」

 ほぼモノリンガルの国である日本では、前述したように、数千時間も英語に触れ続けることは難しい。尾島さんは、親が極端な英語漬けの生活を子どもに強いることのないよう、警鐘を鳴らす。

「第二言語習得には、大量の接触時間が必要ですが、子どもの適性もあります。おうち英語を含むバイリンガル育児にはうまくいかないケースも少なくないはずで、成功例ばかりがSNSで拡散されやすい点も忘れないでほしいです」

ノンネイティブに向けた教材や動画は有用


 話す、書くといったアウトプットや、実際に英語でコミュニケーションする「インタラクション」の機会も、親は増やしたくなるもの。だが、尾島さんは、「小さいうちからアウトプットしたほうが英語力は磨かれる可能性がありますが、最初はアウトプットができない時期が長く続くこともあります」と、あくまで目と耳からのインプットによる土台づくりをすすめる。

 目と耳からのインプットによって脳を英語に慣れさせるうえでは、その質にも注意を払う必要がある。尾島さんによれば、英語ノンネイティブの子どもたちに向けた英語学習用の教材や動画の中に有用なものがあるという。きれいではっきりした発音であるうえ、話すスピードがゆっくりだったり、動きで表現を補足したり、言葉を言い換えたりと、ノンネイティブが効率的に英語を習得できる工夫がいろいろと施されているからだ。

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