とにかくハードルを低く、少しずつ。習慣を変えるのは、大人だって難しいものですよね。
子どもは「楽しい」が正義なのです
――動画と読書が混在していてもOKなのですね。
もちろんです。子どもは、なにごとも「楽しいかどうか」が基準です。ですから、読書を「楽しい」と感じれば、大人から言われなくても自分から本を読むようになります。
――「楽しい」と感じさせることがなかなか難しいように思います…
たとえば、夕ご飯を食べながら、親御さんが子どものころに読んだ本の話をしてみる。決して「それを読みなさい」というのではなく、「こんな本があってね」「すごく好きだったの」「また読みたいな」というように、感想を話すイメージです。
人が楽しいと思っていることは、子どもも興味を持ちますよね。あとは、大人が夢中になって読書をしている姿を子どもに見せる。「本っておもしろいのかな」と子どもが思い始めたらチャンスです。
そのチャンスを逃さないために、つねに「近い」位置に本を準備しておきましょう。前回お話ししたように、ハードル低めの本たちをスタンバイさせてください。そこで自分から少しでも本を開くようになったら、とにかく本の補充をして絶やさないこと、本を読む空気づくりを意識すればOKです。
――空気づくりとは、どんなことをしたらいいですか?
子どもが、本を読み始めた「場所」が、子どもがいちばん居心地よく感じる場所です。そこを読書スペースとして、本をさりげなく置いて整えてあげましょう。そこに座ると、子どもの読書スイッチが入るイメージですね。
また、入浴後や寝る前など、少しの時間でかまいません。親御さんも本を読む時間を決めて、家庭全体に「読書」の空気が流れるようにするのです。読書は、こんなふうに毎日の習慣と「セット」にすると定着しやすいですよ。
家族で本を読む時間。その時間を心地よく感じるだけでも、すでに読書を楽しんでいるということ。読書は「楽しい」こと。それに子どもが気づけば、あとはもう自分から本を開くようになります。
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