今の親世代には、「子どもにはグローバルで通用する力を養いたい」という考えも浸透しつつあります。親の都合で海外で暮らし、日本に戻ってきた「帰国生」を長年指導してきた「帰国子女アカデミー」の創立者チャールズ・カヌーセンさんに、グローバル社会を生きるのに必要な力や、日本の子どもの英語学習についての考えを聞きました。「AERA English特別号 英語に強くなる小学校選び 2025」(朝日新聞出版)からご紹介します。

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レジリエンスや文化的感受性をどう高めるかが、日本の未来を左右する

――多文化的な視点と語学力を持つ帰国生は、「グローバル人材の卵」ともいえる存在です。何千人もの帰国生を育て、かつ、多国籍の講師をマネジメントする立場から、グローバル人材にはどんな力が必要と感じますか。

 国際的な舞台では、多様な文化的背景を持つ人々や、幅広い年齢層と交わります。世界標準の英語力に加え、文化や個性の違いを理解し、敬い、よい方向に導く「異文化対応能力」を備えていることが重要です。これは「文化的感受性」の豊かさ、とも言えます。

 また、文化や宗教、年齢などの「違い」から生じる摩擦に直面した際に問われるのが、「レジリエンス(回復力)」です。国の異なる会社があれば、それぞれの国の文化だけでなく、社風や規則も異なります。そこで働く人の価値基準や行動様式もさまざまです。

 たとえば部下に否定的なフィードバックをする際、日本人やイギリス人は間接的に、アメリカ人やイタリア人は直接的に相手に伝える傾向があります。こうした「違い」に対して、小言を言うのではなく、相手を理解し、しなやかに乗り越えて相乗効果を上げる。そんな「グローバルレジリエンス」が大切なのです。日本は将来、人口減で国内市場が縮小し、多くの企業が生産拠点を海外に移していくと見込まれます。つまり、日本人はますます異文化の人々と仕事をすることになるので、レジリエンスや文化的感受性をどう高めるかが、日本の未来を左右すると思います。

――レジリエンスを子どものころから育むには?

 スポーツや音楽が効果的です。専門的な技術を磨けば自信がつきますし、うまくいかない場面を乗り越える経験を積めますから。アウトドアもいいですね。キャンプファイアの火をおこす際の試行錯誤はレジリエンスを育むでしょう。キャンプの共同作業は、相手に掛け合う力や、自分の意見に納得してもらうコミュニケーション能力までも育まれます。実際、多くの親や教育者は、子どもたちがスマートフォンやパソコンを長い時間眺めている傾向があるため、アウトドア教育が重要になってきていると考えています。

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AERA with Kids編集部
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