ただ、同盟関係は「見捨てられる」「巻き込まれる」という二つの恐怖がつきものです。

 アメリカとの信頼関係は大切ですが、なんでも言いなりになって尽くしすぎると、アメリカのとんでもない戦争に巻き込まれる可能性もあります。常に状況やバランスを見ながら、同盟のあり方を考え続けることが重要です。

Q.「日米安保」ってどういう条約?

 私は同盟って「結婚」に近いものだと思います。紙きれ一つの約束で成り立ってしまうけれど、それで幸せな結婚生活になるか、ケンカして離婚してしまうかは2人の行い次第ですよね。

 日米安全保障条約(※1)も、条約に書いてあること自体は極めて簡単な内容です。その後、どれだけ政府間で話し合い、一緒に訓練し、秘密を共有するのか、何かあった場合に本当に頼りになるのかなど、日々の行いで同盟の信頼性は上がったり下がったりするものだと思います。

Q.日本は戦争を放棄したのに、なぜ軍事費を増やすの?

 二度と戦争を起こさないための手段の一つとして抑止力があります。外国に侵略したり、ひどいことをしたりするのではなく、自分の国がやられそうなときにダメ!といえる「拒否的抑止力」は、誰に恥じることなく持っていい能力だと私は思います。

 ただそれにはたくさんのお金がかかります。私は軍事の専門家ですが、軍事費をどんどん使っていいとは思いません。憲法9条や日米安保、軍事費について、私たちは国民同士でもっと話し合う必要があります。

安保3文書の決定後、防衛費は急増。最近は円安や資材の高騰により、防衛装備品の価格も跳ね上がっている
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