「教育版マインクラフト」でつくられた作品で内容を競い合う「マイクラカップ」は、今年で6年目を迎えました。ゲームで才能を発揮する子どもたちにスポットライトが当たる場は、実は日本ではまだ多くはありません。ゲームはスポーツと比べると地味で目立ちにくいミニマムな世界ですから。でも、マイクラは世界一プレイヤー数が多いですし、英語でコミュニケーションすることもあるので、やっていることはとてもグローバルなんです。

 マイクラをやっていると世界共通のプログラミング言語も覚えるので、そういう点では、スポーツと変わらないくらい広いフィールドで、子どもたちの才能を発揮できる世界だと思っています。

――マイクラによって才能を発揮する子どもが増えたのか、もともと才能がある子が表に出てきたのか、気になります。

 昔からモノづくりが好きな子はたくさんいました。でも、そういう子どもたちが輝ける場所が少なかったんですね。スポーツも芸術も数学の世界も、優秀な子は世間から評価されますが、モノづくりが得意な子はただのオタクだと思われやすいので。私自身も子どもの頃からずっとモノづくりが趣味でしたけど、1人で楽しんでいるだけで、友だちも少ない青春時代でした(笑)

――逆に、マイクラは世界中の人とつながれるので、自分がつくった世界を喜んでくれる人がいれば自信もついて、自己肯定感も高まりそうです。

 それこそがマイクラの魅力です。建築でも冒険でも映像でも、自分が得意なことを自できて、つくった作品をすべて丸ごと受け入れてくれる。正解も失敗も順位付けもなく、唯一無二の存在として輝けるのがマイクラの世界なんです。ですから私はよく、マイクラはゲームではなく「自分を発揮するプラットフォーム」だと話しています。

――マイクラでゼロから自分の世界をつくり上げるには、どんな力が必要なのでしょうか。

 想像力、創造力、分析力、やり抜く力などさまざま力が必要ですね。自分の頭で考えて新しいモノを生み出す力は、どんな仕事でも求められる時代になっています。マイクラ好きの子どもたちは、将来、それで生計を立てられるような場所がたくさんあるでしょうね。日本はゲームに対して偏見を持っている大人が多いのですが、「マイクラカップ」がスタートした6年ほど前から、「この大会に参加する子どもたちは素晴らしい才能を持っている稀有な存在だよね」と、ようやく認識しはじめた大人が増えてきました。

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