国際バカロレア教育が結実

 さて、今回は首都圏の中高一貫校について、卒業生数に対する海外大学現役合格率ベスト5を紹介します(注・別表、2023年のデータ。2023年5月時点のデータを集計したもののため、最終数値とは異なることがある)。トップは広尾学園(東京)で、次に茗溪学園(茨城)が続きます。東京大学や早慶上智のランキングとはまったく違う顔ぶれです。

首都圏の中高一貫校のデータ。数値は日能研調べ

 ちなみに、ランキングからは外れましたが、中堅の女子校でも海外大学に目覚ましい実績を出すケースがあります。21.2%の北豊島(東京)、16.0%の麹町学園女子(東京)などがその好例です。両校とも丁寧な進路サポートが特徴ですが、その成果が海外大学でも発揮されたというところでしょう。

 さて、話をベスト5に戻すと、いずれも国際理解教育を重視している私立・国立大学附属ですが、際立った特徴がみられます。5校のうち、茗溪学園、東京学芸大学附属国際、開智日本橋学園の3校が、IBDP (国際バカロレア・ディプロマプログラム)の認定校だということです。

 国際バカロレアとは、ごく簡単に言えば、他文化を理解し、敬意を抱くことで、平和な社会を実現できるような若者を育成することを目的とする教育です。現在、インターナショナルスクールでも実践校が急拡大しています。

 そのうちディプロマプログラム(DP)とは、日本の高校段階(主に高2~高3)で実践するプログラムで、最終試験を経て所定の成績を収めると、国際的に認められる大学入学資格「国際バカロレア資格」を取得できるのです。先の3校はその成果が実ったと言えるでしょう。

 2024年の実績では、茗溪学園がスタンフォード大学など、開智日本橋学園がブリティッシュコロンビア大学など、そして東京学芸大学附属国際でアーラム大学などで合格者を出しています。

海外大学はより身近に

 ちなみにIBDP校として実績を積んでいくと、実際に海外大学に進学した生徒からリアルな情報がより寄せられるようになり、さらに実績が続いていくという側面があります。特にコロナ以降、日本だけではなく世界中でZoomなどのテレビ会議システムが普及しました。メールなどだけではなく、ライブ中継やSNSなどを経由した動画がいつでも気軽に手に入るようになり、海外大学のリアルな情報が、以前とはまったく違った豊かさで押し寄せてくるようになり、それが海外大学志向をより高めているというのもあります。

NEXT進路は多様化、相対化
1 2 3