人間は幼いうちに、自分は価値のある人間だということを誰かに思ってもらうことがいかに大切なのか、そしてそれをないがしろにされるできごとはなかなか消すことはできないのだと、改めて思う瞬間です。このように、「娘が生意気でかわいくない」という問題は単純ではなく、そのもっと奥に根深い問題が潜んでいることが多いものなのです。
悩むママによく見られる、3つの傾向
「娘がかわいいと思えない」というママに話を聞くと、いくつかの傾向があることに気づきます。
1 忙しすぎる
家事、子育て、仕事などいくつもの「やるべきこと」を抱えて疲弊している人が多いと感じます。夫も仕事で多忙で、頼ることができない。忙しいとどうしてもイライラしてしまいますし、子どものワガママなどに対して過敏に反応してしまうこともあると思います。
2 自分に厳しい
明確な母親像があり、自分に課している合格ラインが非常に高い人。他者の目からみると十分がんばっていて素敵なママなのですが、「そのくらいはできて当然のこと」と、合格点を出すことができません。さらに「私はあれもダメ、これもできていない」と自分に厳しく、そのぶん子どもにも厳しくなりがちなのです。
3 「ねばならない」が強い
「母親はこうあるべき」「女の子はこうでなくちゃいけない」という思い込みや、「何時までに家事をここまで終わらせる」という自分への縛りが強く、「まぁいいか」とは思えない真面目なタイプです。
このように、ママ側の環境や思い込みが「娘がかわいくない」につながっている可能性があると感じます。だからこそ、「娘をかわいがれない」という自分をあまり責めすぎないでほしいと私は思うのです。きょうだいを平等にかわいがれないのも、娘に厳しい態度をとってしまうのも、人間ですから起こりうることです。まずは多忙ななかでがんばっている自分を認めてあげてください。
それでも、この状態を続けることで娘の中で「ママを信頼しよう」という思い、「自分は誰かに愛される価値がある」という自信が形成されにくくなる可能性があります。そうなるまえに対策を打っていきましょう。
<※後編【「わが子をかわいいと思えない」と悩む親が、現状を変えるためにできる“3つのこと”とは 公認心理師に聞く」】に続く>
(取材・文/神 素子)