深刻なのは、娘とママが似ている場合? 似ていない場合? 

 なぜ同性の場合、「かわいくない」が重症化しやすいのか。そこには同性ならではの「自分と似ている、もしくは似ていない」という比較が存在するからだと思います。私のもとに相談に来る方は、「自分と娘が似ている」と思う人、「似ていない」と思う人、どちらもいます。

「娘と私はタイプが違う(似ていない)」という場合、「理解できない」と悩む人が多いものです。「私だったらそんなことはしない」「なぜ、そんな言い方をするのか」と、その子のありのままを受け入れることができなくなっています。

 男の子のママも「理解できない」という人はとても多いのですが、女の子ほど悩みが深刻でないケースが多い。きっと心のどこかで「男の子は理解できなくても仕方がない」という気持ちがあるからでしょう。前提として「同性は理解できる」という思い込みがあるので、理解できない行動をとる娘を「かわいくない」と感じてしまうことが多いようです。

 一方、「似ている」がゆえに悩む人も多くいます。自分の嫌な部分、直したいと思っている弱点が子どもの中に見えてしまい、自分のダメさが露呈して、突きつけられたような気持ちになってしまうようです。「似ていない」と悩む方も深刻ですが、実際には「似ている」ケースのほうがさらに深刻な問題を抱えているケースが多いのです。なぜなら、娘が自分と似ていることに否定的な感情をもつ人は、自己肯定感が低かったり、何か別の生きづらさを抱えていたりするからです。

母を反面教師にしたかったのに……垣間見える負の連鎖

 そういう方の悩みを聞いていると、最初は自分と娘の関係性の話だったはずなのに、いつしか自分と母親の関係に苦しんだ過去が浮かび上がってくることは少なくありません。「母は私のことが嫌いだった」「弟ばかりかわいがられ、私はいつもうるさがられた」「兄は遠方の大学に入れてくれたのに、私は地元の短大だった」など、苦い記憶が次々に湧き上がってくるのです。「母は感情的に怒る人だった。私は母を反面教師にして子育てしてきたつもりだったのに、娘を嫌悪する自分は母そっくりだ」と嘆く人もいました。

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