新学習指導要領にも「生きる力」 家族旅行で学校が公休に

 旅育が注目された理由として、2020年から施行開始となった「新学習指導要領」による教育改革の影響があげられます。学習指導要領は、社会背景や先々の世の中を見通して約10年に1度改定されますが、2020年施行分では、グローバル化、情報化など変化し続ける現代社会を生き抜くために、課題を発見し解決をしていく力が重要とし、「生きる力」というワードも使われています。具体的には「何を学ぶか?に加え、どのように学ぶか?が大切」との観点から「アクティブラーニング」を強化、また大学入試制度も知識偏重型から、各教科の横断化で思考力を測る共通テストへ切り替えるなどの改革は記憶に新しいかと思います(※2025年の共通テストには情報が加わるなど、現在進行中)。

 昨年4月には、平日に家族と探究や学びをテーマにした活動・旅行をする際に、学校を年3日まで公休扱いにする(欠席にしない)という「ラーケーションの日(※)」の取り組みが愛知県で開始となり、同年9月には大分県別府市が「たびスタ(※2)」休暇を開始。2024年も同様の施策を導入する自治体が増え、茨城県では年に5日まで可としています。

 これは新しい学校教育が目指す方向と「旅で培われる学び」のベクトルが同じ方向を向いているからこその取り組みだと考えられます。これが各地で進めば、親子の休暇をあわせやすく、また平日に旅をすることも可能になります。繁忙期を避けることで旅行費用の負担も軽減され、より多くの家族が旅をしやすくなり、家族の絆を深め、実体験から学ぶ機会も増えると私も期待を寄せています。

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