子どもの脱毛について、医療機関やエステサロンで相談する保護者が増えています。子どもが脱毛することにリスクは? 何歳から脱毛できるのでしょうか? 子どもの医療脱毛に詳しい慶應義塾大学病院皮膚科専任講師の大内健嗣(たけし)医師に聞きました。

――子どもの脱毛はどこでできますか?

 脱毛には、病院で実施する「医療脱毛」とエステサロンで実施する「エステ脱毛」があります。医療脱毛で使用するのはメラニン色素、つまり黒い部分に反応するレーザーで「アレキサンドライトレーザー」「ヤグレーザー」「ダイオードレーザー」があります。これらのレーザーで発生する熱によって毛全体の組織を破壊します。アレキサンドライトレーザーは、子どもの生まれつきのあざにも使用するレーザーです。あざでターゲットとなるメラニン色素よりも毛の組織のほうが大きいので、照射時間が長くなります。ダイオードレーザーは蓄熱式でじんわりと熱を与えていくので、痛みを感じにくく、子どもの脱毛に使用する場合が多いようです。

 一方、エステサロンは主に光を使った脱毛なので、レーザーに比べてパワーが弱いのが特徴です。毛全体の組織を破壊するわけではなく、医療脱毛とちがって、効果は永久ではありません。

――女の子は生理がくれば脱毛できるって本当ですか?

 脱毛は従来、大人を対象としていて、子どもに対して実施するようになったのは10年ほど前からです。何歳から脱毛できるのか、明確な決まりはなく、医師によっても見解が異なるのが現状です。生理が目安とされているのは、生理が始まる前、つまり第二次性徴が終わる前に脱毛をしても、再び生えてくることがあるためです。時間や金銭的な負担などを考えると生理がきてから脱毛したほうが効率的というわけです。ただし、現在実施されているレーザー脱毛は安全性が高まっているので「生理がくるまで待てない」「今何とかしたい」といった場合は、小学校高学年であれば脱毛しても問題ないと思います。

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中寺暁子
ライター 中寺暁子

健康情報誌編集部などを経て、2000年からフリーに。医療・健康・教育のテーマを中心に取材・執筆活動を行う。

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