わが子が年少さんだったころのこと。慣れない幼稚園ですっかり疲れ果て、帰りの通園バスでお昼寝をしながら帰ってくるため、夜になっても寝られない、翌朝は寝起きが悪い……という時期がありました。
そんな時、ふらっと立ち寄った古本屋さんで目に入ったのがこの『おやすみ、くまくん』です。
この本の主人公は、夜になっても眠れないくまくん。こっそりベッドを抜け出し、窓から暗くなった外の様子を見ています。
絵本に描かれている夜の風景を見て、私も子どものころに感じた夜をいろいろ思い出しました。窓から見える月明かりや、一人でトイレに行くのが怖かった暗い廊下、たまに泊まるおばあちゃんの家の時計の音……。
大人になった今では気にも留めないようなことを、子どものころはしっかり感じて、覚えているものなんだなあと思いました。
そして最後のページには、とっておきのしかけが……! 封筒がついており、中に1枚の便せんが入っています。
絵が大好きな息子はこれを見てニヤリ。紙に書かれているとおり、パパと山登りに行く絵を描いて、枕の下に入れ、「おやすみ、くまくん」と3回唱えて、目を閉じました。
翌朝、「これ、効果あった!!!」と大興奮で起きてきました。なんと本当にパパと山登りをする夢を見たと言うのです。
それはたまたまだったと思いますが、それがきっかけで、夜寝るのが楽しみになった様子。まだ眠れなくても「今日は夢見られるかなあ」と自分から布団に入り、目を閉じるようになりました。
眠るのがきっと楽しみになる、おすすめの1冊です。
(文/梶木あきこ)
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