今年3月に北欧のスウェーデンが北大西洋条約機構(NATO)へ加盟しました。長年、スウェーデンは長年、中立・軍事的非同盟を掲げてきましたが、その方針を変えた背景には、ウクライナ侵攻を続けるロシアの脅威があります。小中学生向けのニュース月刊誌『ジュニアエラ2024年5月号』(朝日新聞出版)からお届けします。
【図】ひと目でわかる! NATO加盟国の推移はこちらウクライナ侵攻続ける ロシアの脅威が背景
北ヨーロッパ(北欧)・スウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)への加盟が2月26日、決まりました。加盟国で唯一認めていなかったハンガリー議会が承認しました。背景には、ウクライナへの侵攻を続けるロシアの脅威があります。
スウェーデンは長年、中立・軍事的非同盟を掲げてきました。しかし2022年2月、ロシアのウクライナ侵攻を機に、スウェーデン世論も加盟を求めます。同年5月、同じく長年中立の立場だった隣国フィンランドとともに加盟を申請しました。
加盟には全加盟国による批准が必要ですが、残ったのがハンガリーとトルコでした。トルコは、「テロ組織」に指定するクルド人組織に北欧2カ国が活動の場を与えているとして反発していました。しかし、23年3月にトルコ議会がフィンランドにのみ加盟申請を容認し、フィンランドは翌4月に加盟。トルコとスウェーデンはテロ対策をめぐって新たな協定を結ぶことで7月に合意し、今年1月、トルコ議会が加盟を認めました。
一方、ロシアへのエネルギー依存度が高いハンガリーは承認を渋っていましたが、トルコの承認後に動き始めました。2月26日にはハンガリー議会が加盟を認める法案を可決し、3月7日に正式にスウェーデンが32カ国目の加盟国になりました。
北欧きっての軍事大国・スウェーデンの加盟で、NATOは防衛力を強化できました。対するロシアは、アメリカ軍が北欧に駐留するかに神経をとがらせることになりそうです。
解説/森岡みづほ(朝日新聞ヨーロッパ総局)
ジュニアエラ編集部