去年、ハワイで行われたホノルルマラソンに出場したんだ。前日にホノルルの近くのカフェで撮影があって、よしおと同じくマラソンに参加するという親子がいた。そのお父さんに「明日、僕も走ります! でも、ゆっくりなんですよね」って話しかけられて、よしおは「いいじゃないですか。自分のペースでいきましょう!」って返したんだ。そうしたら、そのお父さんに「冷たいですね」って言われてしまって。

 よしおの気持ちは100%「一緒にがんばりましょう」だったんだけど、それが伝わらなかったんだよね。「なんで通じないんだよ~」と思いつつも、「俺、表情硬かったのかな……。他の言葉のかけ方なかったかなあ」っていろいろ考えちゃって、ちょっと引きずった。

 こんなふうに、思いと言葉が相手にうまく伝わらなくてすれ違うことってあると思う。よしおはけいごくん目線の先生しか知らないから、先生がどういう気持ちで言っているかはわからないんだけど、「いってらっしゃい」とか、もしかしたらウケようとして言っているのかも?って思ったんだ。「違います」だと冷たく聞こえてしまうから、クラスの空気をよくしようとして言っている言葉の可能性もあるかも?って。

つらい言葉には心でツッコミ

 じゃあどうやって言葉を分析するのか。まずはよしおたちが、間違えたときに先生が言う「いってらっしゃい」を考えてみたよ。「いってらっしゃい」って、家から出るときにお母さんやお父さんが言ってくれるよね。それって、帰ってくることが前提の言葉。そう考えると、先生の「いってらっしゃい」も帰ってくることが前提なのかも。授業という“おうち”に答えを持って帰るというストーリーを思いついたよ。もしそうだとしたら、「いってらっしゃい」と言われたときはクラス全員で思い切って「いってきます!」って返してもいいのかも! 

 先生が「いってらっしゃい」と言ったときに悪くなる空気をどうにか変えるアクションはないかな、って思ったんだよね。みんなが本当に、空気が悪いと思っているなら、「いってきます!」を言うことによって笑いになったらいいし、もし笑いにならなくても、それがきっかけで先生に意見が言えるかも。

NEXT先生はカンペキじゃない
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