(1)こだわりの芽に早く気づいて、少しだけ変化球で返してみる

 例えば「マル(マンホール)のある道がを通りたい」というこだわりが3日、4日と続いたとき、「もし工事中だったら」「ほかに用事がある場合はどうする?」と、日々の生活で起こることを想定して、少しだけ変化球で返してみるのがおすすめです。その場合、まずは子どもが興味を引くシチュエーションで返してみましょう。

 「エスカレートするかも」と心配になるかもしれませんが、少しこだわりが出たくらいの早い段階で声をかけてみるのがコツ。「もっとたくさんマルがある道を見つけたんだけど行ってみようか」など子どもの好きなものをきっかけにしながら変化球を返してみてください。

(2)お楽しみを提案して「こだわらなくてよかった経験」を増やす

 「こだわりをちょっと変えてみたけど、やっぱり嫌だった」という経験になると逆効果ですよね。そんなときは「あっちのお店に寄ってお菓子を買って帰ろうか」といった、子どものお楽しみとセットにするのも大事なポイントです。

 「こだわらなかったことでいいことがあった」「いつもと違っても大丈夫だった」という経験が、柔軟さにつながります。「違う道に変えたらお菓子を買えた」「お母さんとマルだけを踏んで帰るゲームが楽しかった」など「こだわらなくてよかった」経験が増えるよう、少しずつ様子を見ながら提案してみましょう。

(3)感覚過敏などがあるときはスモールステップで

 抵抗が強かったり、感覚過敏などがあったりする時は、スモールステップで進めましょう。発達が気になるお子さんは聴覚や触覚が敏感だったり、逆に鈍感だったりする場合があります。大人にとっては何でもないものでも、子どもにとってはハードルが高いことがあるので、少しずつ慣れるところから練習するのがおすすめです。

 例えば帽子をかぶるのが苦手なら、好きな遊びと絡めながら少しずつ和らげていきます。すごろくが大好きならコマを進める間だけ帽子に触れたり頭に乗せたりしてみます。子どもが好きな遊びならパズルでもおままごとでもなんでもOKです。「帽子をかぶるの、やだな」というざわざわとした気持ちを楽しい遊びで相殺してあげる感じで進めましょう。

(構成/久次律子)

※「AERA with Kids+」では、発達に特性があるお子さんの子育てのヒントについて、コミックエッセイスト・tomekkoさんのマンガでもお届けしています

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竹内弓乃
臨床心理士 公認心理師 竹内弓乃

NPO法人ADDS共同代表。親子向け療育プログラム、支援者研修プログラム、事業者向けカリキュラム構成システムの開発などに携わる。NHK「でこぼこポン!」番組委員。NPO法人ADDS公式サイト

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