そこで僕たちは、読書において「いきなり本を読むこと」ではなく、まず「本について親子で話をすること」からおすすめしています。これはとてもいい方法で、とくに本を読む習慣がないという子どもほど、本を読んでいない時間からのアプローチが大切になってきます。

ミルフィーユのように、習慣を重ねていく

――その場に本がない状態で、どんなふうに本の話をすればいいのでしょう。

 一日一回でもいいのです。たとえば「子どものころ、こんな本があったの。こういうお話で、すごくおもしろくて何度も読んだよ」という具合に、お父さんやお母さんが印象に残っている本の話をしてみましょう。以前読み聞かせをした本について「あの本おもしろかったね、覚えてる?」という声かけでもいいですね。

 そこに本がなくていいのです。とにかく、本について思いをはせる時間をつくってみる。すると、一週間くらい経ったころ、子どもは本のことが気になりだしてくるのです。

 読書の習慣をつけるために、僕たちはダイエットや禁煙外来の手法も大いに参考にしています。アメリカなどでは、ダイエットや禁煙外来の研究がとても進んでいて、「習慣を変える」ことを重視しています。

 習慣は、だいたい一カ月もすると変えられると言われているのですが、とくに最初の一週間が大切。継続できるよう、「ベビーステップ」とよばれる小さなステップから始めていきます。たとえばダイエットなら、いきなり走るのではなくて、「体重計に乗る」ことから始めてみる……という具合です。これなら毎日できますよね。それが習慣づいたら、体重計にのったあとに運動を少ししてみる…。徐々に、無理なく続けられます。

 それまでなんの運動習慣もなかったのに、いきなり「今日から毎日走りなさい」と言われたら誰でも嫌ですよね。読書もそれと同じで「今日から本を読みなさい」ではなく、まずは本の話をするところから始める。こんなふうに、まずはまわりから攻めてみるのです。家族で夕食を囲むときにさらっと話す感覚でいいのです。まずは会話をベビーステップに、少しずつ、ミルフィーユのように本に触れる習慣を重ねていきましょう。

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