放課後子供教室や一体型の取り組みがあるなら、待機児童は発生しにくい。親も、子どもが学童に入れずに仕事に影響が出ることを考えると、使い勝手もよく大助かりというところだろう。だが、普光院さんは言う。

「放課後、子どもがどこかで過ごせているなら、それで良いと言われればその通り。だが、友達と遊びたい子もいれば、今日はしんどいからゆっくりしたい、1人で本を読みたいという子だっている。学童保育であれ一体型であれ、子どもたちが安心して過ごせる場になっているか、大人の見守りのもとで自由に遊べているかが大事だと思います」

 小学校生活、子どもにもいろいろなストレスやトラブルがある。「勉強が分からない」「友達とけんかをした」などと、疲れることも悩むこともある。普光院さんは、放課後に過ごす場にいる大人に、安心して心の内を話せるぐらいであってほしいと考えている。

「親の就労にかかわらず好きな友達と一緒に遊べることや、学童保育が待機となった場合でも放課後子供教室を利用できることはメリットともいえます。でも、定員管理をしなければ、過密な環境になっていたり、指導員の配置が足りていなかったりしても、問題が明確化されません。物理的な居場所と同時に、心の居場所があるかはとても大事です。ご自身の住む地域が待機児童数ゼロだからと安心せず、放課後、子どもはどんな場所でどのように過ごしているか、子どもと一緒に、事前に見学に行ってみることをお勧めします」(普光院さん)

「ゆっくりできないからつらい」「決められた遊びしかできないのが嫌」などと、学童保育に行きたがらなくなる子の声も聞く。せっかく放課後の預け先があってもそこで過ごしてくれない限り、親も安心して仕事はできない。受け皿を大きくするとともに、そこで多種多様な過ごし方ができるかについての検証も必要だろう。

(文/永野原梨香)

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永野原梨香
永野原梨香

ながのはら・りか/『週刊エコノミスト』、『AERA』『週刊朝日』などに勤務し、現在、フリーライター。識者インタビューのほか、マネーや子育てをテーマに執筆中。

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