表2は学童保育を希望している児童(登録児童数+待機児童数)に占める、待機児童の割合(待機児童率)を高い順に並べた。待機児童となりやすい区市町村を示している、ともいえるだろう。断トツが中央区で23・2%。続いて狛江市、稲城市、あきる野市、葛飾区、台東区の順だ。
数だけ見ず、「中身」を見て
保育ジャーナリストの普光院亜紀さんは、東京都の待機児童数についてこう指摘する。
「親が働いている家庭の子どもを対象とした放課後児童クラブ(学童保育)と、全児童を対象とする遊び場的事業を一体的に行っている自治体が増えていますが、定員の考え方があいまいで、待機児童数として数が出ない自治体もあるようです。以前、保護者から『出入りする子どもの数が多いのに、ランドセルを置く教室が一つあるだけで落ち着かない』など、一体型事業への不安の声が届いていましたが、最近は少なくなりました。今は、民間学童も多く、放課後の居場所が多様化しているため、親の選択の問題になっているのかもしれません。しかし、子どものためには、利用料の安い公的な学童保育が、安心して快適に過ごせる居場所として保障されることが必要だと思います」
国は、2007年から小学校内に「放課後児童クラブ」と「放課後子供教室」を一体的に整備する「放課後子どもプラン」を推し進めてきた。「放課後子供教室」は、学校の教室や体育館などを使って学習や運動をし、子どもたちの放課後の居場所を作る取り組みが進められている。学童保育はこども家庭庁、放課後子供教室は文部科学省が管轄だ。
学童保育は指導に当たる専門職員(放課後児童支援員)がいるのに対し、放課後子供教室は地域のボランティアなどと協力して運営されている。両親の就労条件もなく自由参加。政府は待機児童解消のため、18年から「新・放課後子ども総合プラン」 として新たな目標を定めて推し進めている。
「東京23区は一体型での取り組みが多くなっています。学童保育に入れなくても放課後子供教室を利用できていれば、待機児童数にはカウントされない自治体が多いのかもしれません。例えば中央区は23年4月から一体型を始めていますが、これまで児童館での学童保育が中心でした。児童館の学童保育は定員が明確なので、定員を超えた利用希望者の数が待機児童数にカウントされます。そのため数が多く見えているのだと思います」(普光院さん)
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