おすすめポイント
いつもの通学路が、自分が暮らす世界とは別の不思議な世界への入口につながっている。この設定だけでも、子どもたちの想像力を刺激してくれるおはなしです。
主人公のハルオがひとりで何とかたどり着いた学校で目にしたのは、どこかおかしな光景。隣の席のハナちゃんのポニーテールが頭のてっぺんでまっすぐに突き立っていたり、生徒会長のヤマモトさんの両耳には鉛筆が2本ずつ挟まれていたりと、何だかいつもと違います。極めつけは、鏡文字やカタカナ、漢字がごちゃ混ぜになった文章。板書や手紙に登場するへんてこな文章を解読するのは、謎解きのように子どもも大人も楽しめます。子どもたちが面白がる“ちょっとへん”が随所に散りばめられ、飽きることなく読み進めていくことができます。
聞き慣れた「キーンコーンカーン」とは違うチャイムの音色や、やたらと咳をするクラスメイトなど、実は細かな描写が伏線としてあるので、読み終わった後にもう一度読んでみると、新たな発見があるのも楽しいところです。物語を読み解く練習にもなるでしょう。
文字が多めで長めのおはなしなので、小学校に入ったばかりの子が一気に読み通すのは難しいかもしれません。ただし、おはなしは5つの章立てになっているので、毎日1章ずつ読むなど自分のペースで読むこともできます。ちょっとしたチャレンジ読書としてもおすすめです。
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