手術なしで自分らしく生きる道を
もう一つの手術要件である「外観要件」については、検討が足りていないとして、高等裁判所でもう一度審理することを決めた。
大法廷の裁判官15人が全員一致で結論を出した。最高裁が法律の定めを違憲と判断するのは12例目。女性から男性に移行する「トランス男性」の場合、外観要件を満たすための手術が必ずしも必要ないことから、手術なしで戸籍の性別を変えることが可能になった。
特例法は2003年にできた法律だ。これまでに1万人以上が戸籍の性別を変更し、性別への違和感に苦しむ多くの人たちを救ってきた。ただ、体への負担が大きい手術など厳しい条件を課しているため、多くの当事者は戸籍の性別を変えられずにきた。今後は手術なしで、自分らしく生きる道が開けることになった。
(解説/朝日新聞社会部・二階堂友紀)
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