AIは「相談相手」や「友達」になりうる

 新作には、AIを活用した機械の心臓を移植された患者が登場する。この人工心臓のアイデアや、「Heartbeat MarkⅡ」という名称は、AIが考えたものだという。一方、AIが描き切れなかった点も。栗原教授は「技術的な問題であり解決していくと思うが、現時点でAIは個々のキャラクターの奥にある背景や心情を捉えるのが苦手」と説明した。

 制作にあたった人からは「AIは『相談相手』『友達』」との声も聞かれたという。生成AI※をめぐっては、創作者の助けになることが期待される一方、仕事を奪われる人が出てくるのではないかという懸念が取りざたされるなど、賛否が渦巻く現状がある。手塚さんの長男で、手塚プロ取締役の手塚眞さんはこう語った。「今はAIでのものづくりについて意見を交わしてもらいたいタイミング。若い人たちにいろいろと議論してもらえれば」

(解説/黒田健朗・朝日新聞文化部)

キャラクター「川村」の画像生成の例。実在の人物をもとに、AIが生成した画像の中から、右下のキャラクターが採用された

「ジュニアエラ2月号」(朝日新聞出版)より抜粋

ジュニアエラ 2024年 2月号 [雑誌]

朝日新聞出版

ジュニアエラ 2024年 2月号 [雑誌]
1 2