ものづくりの分野でのAI(人工知能)の活用がどんどん広がっています。昨年11月、「漫画の神様」と呼ばれる手塚治虫さんの人気漫画「ブラック・ジャック」で、AIと共同で制作した新作が発表されて話題になりました。このプロジェクトのなかで、AIはどのように取り入れられたのでしょう? AIが得意なことや苦手なこと、さらに今後、私たちがAIを有効活用していくためのヒントなども見えてきます。小中学生向けニュース月刊誌「ジュニアエラ2月号」(朝日新聞出版)からご紹介します。
【写真】AIが作成した登場人物がこちら「漫画の神様」×「AI」の壮大なプロジェクトに
無免許の天才外科医が活躍する人気漫画「ブラック・ジャック」の新作が2023年11月、少年漫画誌に掲載された。原作者である漫画家の手塚治虫さんは1989年に亡くなっており、今回の作品はAI(人工知能)を活用して描かれたものだ。
手塚さんは「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」「火の鳥」などヒューマニズムあふれる作品で知られる。生涯に描いた原稿は15万枚ともいわれ、後進へ与えた影響の大きさなどから「漫画の神様」とも呼ばれている。
新作を手がけたのは、AI研究者の栗原聡・慶応大学教授や手塚プロダクション(手塚プロ)などによるプロジェクト。「ブラック・ジャック」200話分など、手塚さんが手がけた作品のデータを読み込ませたAIも用いたという。人間がAIとやりとりを重ねながら、ストーリーや登場人物のデザインを決定。それらをもとに漫画家らが作画し、「TEZUKA2023 ブラック・ジャック 機械の心臓―Heartbeat MarkⅡ」と題する32ページの作品が完成した。
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