佐渡島を越えた季節風は乾いて、雪雲ができにくくなる

 佐渡島によってどのような気象の変化が起こり、新潟市の積雪が少なくなるのだろう?

「佐渡島には高い山があります。季節風に含まれる水蒸気はその山の西側に雪を降らせてしまうので、山を越えた季節風は湿り気を失います。この乾いた空気が新潟市のほうに吹いてきます。しかも、風も弱くなる(風速が遅くなる)ため、温かい日本海からの熱や水蒸気が供給されにくくなります。この風に水蒸気や熱がたくさん含まれていれば、新潟市のあたりでもう一度雪雲ができるはずです。でも、乾いた風からは雪雲が発達しづらい。そのせいで、新潟市は日本海側の他の都市に比べ、雪が少ないというわけです」(日下さん)

 壁が強い風をさえぎることは経験からわかるけれど、島が季節風をブロックして雪を少なくすることが、今回の研究で初めて明らかになったということだ。身近な天気や気象にも、解明されていない現象が、まだまだたくさんありそうだ。

(文/上浪春海) 

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日下 博幸

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上浪春海
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