子どもたちが受ける性暴力の加害者はさまざまですが、最も多いのが学校や塾の先生、親族など「身近にいる大人」だといいます。心や体に大きな傷を残しかねない性暴力を防ぐため、日ごろから子どもに、どのようにことを伝えておくのがよいのでしょうか? 小中学生向けニュース月刊誌「ジュニアエラ2月号」(朝日新聞出版)からご紹介します。
【グラフ】小・中学生の不登校、過去10年でどのくらい増えた?小中学校でおこなわれている「生命の安全教育」とは?
子どもへの性暴力の根絶に向けて、全国の小中高校で2023年度から「生命の安全教育」が実施されている。「子どもたちが性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないようにする」ことを目標にしている。この教育が実施されるようになったのは、子どもへの性暴力が子どもの心や体に大きな傷を残す重大問題だと受け止められるようになったことが背景にある。
子どもたちが受ける性暴力の加害者はさまざまだが、多いのは身近にいる大人だ。たとえば、学校の先生が加害者になる例は絶えない。文部科学省の調べでは、2022年度に性犯罪や性暴力などで処分を受けた公立学校教員は119人に上る。また、塾の先生、カトリックの神父、中には父親から性暴力を受けたという事例もある。
性暴力にいたるまでには加害者が「性的グルーミング」という手段を使う場合がある。わいせつなことをする目的で相手を手なずけようとすることだ。「勉強を見てあげる」とか「一緒にゲームをしよう」とか言ったり、「かわいいね」などと容姿をほめたりするところから信頼関係を築き、性暴力につなげる。23年の改正刑法で、16歳未満にわいせつ目的でSNSなどを介して手なずけ、会うように仕向ける「性的グルーミング罪」が新設された。
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