そういう文化が塾にあるからでは?

安浪:この方のお子さんはまだ4年生ですが、今後もこういうことを言ってくる子は増えると思います。4年生のうちの成績って全然あてにならないので、だんだん成績が落ちてシュンとなって何も言わなくなる子も多いんですが、最後までよくも悪くも成績が良くてマウントを取り続ける子もいます。俺はどこどこを受けるんだ、と自慢げに言いふらしている子もいますしね。ご縁がなかったらどうするんだろう、ちょっと幼すぎるんじゃないか、とも思うんですが、そこまで想像が及ばないのが小学生なのかもしれませんね。

安浪京子さん

矢萩:それってどこどこを受けるのがすごい、みたいな文化が塾にあるからじゃないですか。本当は受けるだけだったら誰だって受けられるのに、君はここを受けていいよとか君はここはちょっと無理だね、とか塾が勝手に決めてくるじゃないですか。そうすると受けるだけでもマウントが取れてしまう。

安浪:そういう子って自分のことを言うだけでなく、6年生のこの時期に第一志望はどこかとか、併願校はどこを受けるのかとか聞いてきたりするわけです。その場合は、「うちはそれを言ったらパパとママに怒られる」とか、「うちは言っちゃダメって言われている」などの言い方を教えてあげるほうがいいと思います。

矢萩:確かに、「我が家のルール」を前面に出してしまった方がいいですね。最初のご相談に戻しますが、親の背中を見せるのと同時に大事なのが、自分の中にある「違和感」に気づかせることだと思います。つまり、あなたは友達の言葉に嫌だな、変だな、と思っているんだよね、ということを確認させ、それを言語化させる。「どこが嫌だと思った?」とか「あなたはどう思ったの?」ということをちゃんと聞いてあげるといいです。そうやって丁寧に聞いてあげると、だんだん「ここはあまり気にならないけれど、この部分はすごく嫌」といった自分の感情に気づくことができるんです。それがすごく大事。

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