同校出身者によれば、クラブ活動「レビュークラブ」の存在が大きいようだ。宝塚歌劇をよく研究し、クラブ員たちが実践(=上演)している。
学校は「レビュークラブ」の活動内容をこう紹介している。
「宝塚歌劇団などのレビュー作品を鑑賞・研究し、それをもとに舞台構成や演出を考え、衣装制作やダンスの練習をしています。夏季休暇中には合同合宿に参加し、舞台技術の更なる向上を目指します。(各行事には研究グループ「OH*TAKARAZUKA」として参加し、行事の直前には必要に応じて定例以外の活動も追加しています。)」(同校ウェブサイト)。
前出の学校関係者はこう話す。
「それがみんな宝塚につながっていくというわけではないようです。高校時代のクラブ活動として力を入れますが、文化祭でまっとうしたからすっきりした、という生徒は少なくありません。その後、クラブ活動と勉強を両立させてがんばる生徒がほとんどです。ただ、なかには舞台に立つことが楽しく、大学の推薦を受けず、高校を卒業して宝塚音楽学校に進んだ生徒もいます」
日本女子大学附属は生徒の自治、主体性を大切にしており、自主、自立を育む教育を行っている。そのなかから宝塚の世界に進みたいという生徒も出てくる。宝塚に限らず、卒業生がどのような道に進んでも、学校は応援しているという。
“自己表現が大好き”という気風が受け継がれている東洋英和女学院
東洋英和女学院も戦前から多くの宝塚スターが輩出してきたことでも知られる。
今から約90年前の1932年、櫻町公子さんは東洋英和女学校を中退して宝塚音楽歌劇学校に入学した(名称はいずれも当時)。櫻町さんが東洋英和初のタカラジェンヌとなる。
トップスターには、1974年に宝塚音楽学校に入学した日向薫さん(星組)がいた。
現在、東洋英和女学院出身者のタカラジェンヌはわかっているだけでも26人、現役は芸名が付いていない者も含めて9人いる。
東洋英和女学院高等部部長の楠山眞里子さんに話をうかがった。
「ご家族の方が宝塚のファンで、自分もよく見るようになって好きになり、宝塚を目指す生徒が多いですね。宝塚に直接関連する部活動はありませんが、音楽部やダンス部、英語劇部の生徒が宝塚音楽学校、劇団四季に挑戦するケースも見られます。OGで『花子とアン』の村岡花子の時代から、シェークスピアを演じるような、自己表現が大好きという気風が脈々と受け継がれており、そのなかから宝塚スターが生まれたのでしょう」