作文の苦手な子どもに書き方を教えるだけでなく、学校の先生に「教え方」も教える脚本家、舞台演出家の篠原明夫さん。なかなか読書感想文に手をつけようとしない子どもに、親はどう向き合えばいいのでしょうか。現在発売中の「AERA with Kids 2023年夏号」(朝日新聞出版)から抜粋してご紹介します。

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 夏休みの終わりが近づいても読書感想文に手をつけていないと、親は焦って心配になるものです。

「早く書きなさい!」と急かしたり、漢字や語句の使い方など、細かい間違いを直したりしたくなるかもしれません。しかし、そこは一歩下がって見守ってほしいと篠原さん。

「親が横からダメ出しをするから書けなくなるんです。感動したポイントまで『そこじゃないでしょ』なんて言われたら、もうがっかりして何も書けなくなりますよ(笑)」

 読書感想文で、親や先生にほめられる文章を目指す必要はまったくない、と篠原さんは断言します。まず、「自分の力で最後まで書けた」という体験をすることが、今後の自信につながるからです。

「読書感想文に本来、評価基準はありません。国語の問題とは違って、“正解”を書く必要はないんです。小学生が自由に書いていい唯一の場が、読書感想文なのです」

 子どもの感性に任せたら、親も驚くような成長が感じられるかも。

 完成後は「良く書けたね!」とほめて、書くことへの意欲をもり立ててあげたいものです。

■親の向き合い方のポイント

1)子どもの文章を直さない

 句読点の打ち方や語句の使い方、一文が長すぎることなど、大人は横から指摘したくなるものです。でも、親に指摘されて直してばかりだと、そもそも書く気力や、やる気はなくなってしまいます。まずは最後まで自分で書き、後から必要な部分を清書で追加するようにしましょう。

2)読書感想文の本を読まない

 いつも保護者におすすめするのは、「読書感想文に選んだ本を親は読まない」こと。内容を知っていると「重要なのはそこじゃないでしょ」「あの場面について書かないの?」など口出ししたくなります。知らないまま、素直な気持ちで「どこがおもしろかった?」と質問するのがベストです。

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玉居子泰子
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