ほかにもローソンが弁当、サンドイッチなどの店舗への配送回数を、1日3回から2回に減らしたり、首都圏を地盤とするスーパー4社(サミット、マルエツ、ヤオコー、ライフコーポレーション)が180日以上の賞味期間がある加工食品の納品期限を延ばすなど、物流の効率化に共同で取り組んだりしている。

 荷物を積み込む企業の側も、ドライバーを長時間待たせないように倉庫の自動化を進めたり、ドライバーが荷物を手で積み込むのではなく、まとまった量をパレットに載せてフォークリフトで積み込めるようにしたりしている。

 ただ、民間企業のこうした取り組みだけでは「2024年問題」を解決することは難しいと思われ、政府が対策づくりに乗り出している。方向としては、(1)荷主と物流事業者との商慣行の見直し(2)DX(デジタルトランスフォーメーション)による物流の効率化(3)荷主や消費者の行動変容を促すしくみの導入、の3点を打ち出している。

 私たち消費者に関係するのは、(3)の「消費者の行動変容を促す」という部分だ。確かに私たちも安さや便利さを求めすぎてきたように感じる。ネット通販で買い物をするときには送料無料を求め、配達はできるだけ早いものを選ぼうとしてきた。それに応えようとする宅配業者や通販サイトなどの競争によって、それが実現されてきた。しかし、実際に配達するのにはコストがかかるし、注文した当日や翌日に配達するのは負担が大きい。受け取る人の不在による再配達も少なくない。

 ドライバーの働きすぎを防ぐ新しいルールができる来年以降、宅配便の配達が今より少し遅くなったり、送料が少し高くなったりする可能性がある。しかし、私たちはその目的を理解して受け入れることが必要になりそうだ。

(ジャーナリスト・一色清)

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