■気持ちを切り替える考え方

 自分恥ずかしいって思っていることでも、実は周りの人は何とも思っていなかったってパターンもある。高校の卒業式のことなんだけど、よしおはみんなの前に出て熱いことを言うっていうマイクパフォーマンスをしたことがあるんだ。熱くなりすぎて最終的にはマイクのスイッチを切られてマイクを投げ捨てる(壊れて後日弁償)、みたいな。終わったあとは高揚していて達成感があったんだけど、何年か経って冷静に振り返ってみたときに、「なんて恥ずかしいことをしたんだ……」って後悔した。時間がすごく経ってから後悔するってパターンもあるんだね(笑)。

 それで、この間高校の同級生に会ったときに思い切って卒業式のことを聞いてみたんだ。「俺がマイクパフォーマンスしたのさ、やったあとにすごい恥ずかしかったんだよね」って。そうしたらその友だちが「え? そんなことあったっけ」って言ったんだ。よしおはその答えにびっくり。学校行事のなかでも大きなイベントだから、みんなの印象に残っていると思っていたから。

 意外と自分が気にしていることって他の人は気にしてないんだなー、って思った出来事だったよ。だから日常会話の一コマなんて意外とみんな気にしてないのかも。髪の毛切ったことにさえ気づかないこともあるもんね。よしおはよく気が付かずに「しまった!」ってなるよ(笑)。

「みんなそんなに気にしていない」話でいうと、よしおが高校3年生くらいのころに出合った本に衝撃的なことが書かれていた。リチャード・カールソンっていう人の『小さいことにくよくよするな!』って本なんだけど、そこには「100年後にはみんないなくなっている」みたいなことが書いてあったんだ。「ああ、100年後にはみんないないのか!」とハッとして、ちょっと考え方も変わったような気がするな。少しの失敗くらいいいじゃないか、ってね。

 よしおの後輩は、大きな宇宙や地球規模で自分のことを考えてみるってことをしているみたい。物理的にも、宇宙から見たら自分はすごく小さいし、世界を見渡して大変なことがあるなかでは、自分に起きた出来事はささやかだと思えるんだって。

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