今から40~60年前ごろは、東京郊外の多摩ニュータウンに代表される大規模開発が各地で行われ、人里近くにいた野生動物は、山奥に追い込まれていった。ところが現在は、大都市郊外では高齢化や人口減少が進み、山林に接した農村では耕作放棄地が増えるなど、人間の野生動物に与えるプレッシャーも小さくなってきている。その結果、野生動物が都市に迫ってきたのではないかと小池教授は言う。
「近年の野生動物には『人間は大したことないじゃないか』と見えているのかもしれませんね」
<家の近くでタヌキなどに出合ったらどうする?>
■えさをあげてはダメ!
小池教授らの調査では、ICUのタヌキは住宅街に出てくることがあっても、木の実や昆虫など自然由来のもので生活していることがわかっている。都市にいる動物は、かわいそうな動物、えさが不足している動物と決めつけてはいけない!
■近づかず見守るだけにする!
野生動物は、どんな病原体を持っているかわからないので、決して触れてはいけない。動物が逃げ出さない程度の距離からそっと観察しよう!
(取材・文/上浪春海)
※『ジュニアエラ7月号』(朝日新聞出版)から抜粋
ジュニアエラ 2022年 7月号 [雑誌]
朝日新聞出版
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