中学受験を考えたときに、気になるのがお金のハナシ。いくらあれば足りる? ぎりぎりだったときの対処法は? AERAムック『偏差値だけに頼らない 中高一貫校選び2022』では、多くの家庭の教育費の相談にのってきた、ファイナンシャルプランナーの藤川太さんに詳しく教えてもらいました。
【図版】収入に対する教育費のバランスはこちら* * *
「お金は“かかる”と表現することが多いですが、中学受験のようなお金は、“かける”と言うほうがふさわしいお金です。つまり、ご家庭の世帯年収や家族構成などによって、かけられる数字が変わってくる。“いくらかかるか”は、“いくらかけられるか”が基準になってくるわけです」
そう話すのは、多くの家庭の家計の見直しに携わってきた、ファイナンシャルプランナーの藤川太さん。
地域や学校によって違いはあるものの、私立校の学費は、大まかに見積もって年間100万円ほど。中学から大学まで私立に通うとなると、学費だけで1人あたり1千万円前後がかかり、大学で医歯系学部を選択するようなら、さらに多くを払っていく計算になる(図1参照)。
首都圏で中学受験を経験した家庭が、実際に通塾にかけた費用は平均約244万円。受験に49万円(約2万3千円の検定料を10校分、合格し納入したものの入学しなかった1校分の入学金約26万円と想定)がかかると考えると、入学までに約293万円。以降は年間100万円程度の学費が必要になるが、「授業についていくために、補習塾に通うお子さんが少なくない」と藤川さん。
その先の大学は学部によるが、医歯系学部なら6年間通うと想定すると、文系の6倍近くかかりそうだ。さらに下宿代が発生したり、子どもの大学進学と親の定年が重なったりする場合もあるので、シミュレーションしておこう。
■先々までの収支のシミュレーションを
「人生には、お金をためやすい時期とためにくい時期があるのですが、受験態勢に入ったら、それはもう使いどき。平均的なご家庭であれば、お子さんが通塾を始める10歳ごろまでに1千万円をためることは難しいので、あとは、稼ぎながら払っていくことになりますね」
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